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仁川広域市甕津郡北島面に属するチャンボン島は、面積7.15平方キロメートル、海岸線の長さ22.5キロメートルと、大きすぎず小さすぎない島だ。「長峰」という名のとおり、「ㄴ」の字を寝かせたように細長い島には小さな峰がこんもりと連なり、海辺には肥沃な干潟を抱いた海が寄せては返す。自分の足で歩きながら山と海を眺めわたす味わいはまさに格別だ。
仁川トゥルレギルは全16コースからなる。仁川の山や村を隅々までめぐり、江華島に立ち寄ってからチャンボン島へと続く。チャンボン船着場を起点に6つのスポットをめぐって元の場所へ戻る16コースは、8.4キロメートル、およそ2時間50分かかる。
旅行作家 チン・ウソク 詩人になり損ねた旅行作家。歩きの達人として知られる。ヒマラヤ、カラコルム、アルプス、ドロミーティ、白頭大幹など、世界の主要なトレッキングコースを踏破し、新聞や雑誌で紹介するのを楽しんでいる。著書に『大韓民国トレッキングガイド』『海外トレッキングバイブル』などがある。
豊かな漁場と人魚像の伝説
チャンボン島へ向かう船は、仁川港ではなく永宗島のサンモク船着場から出る。車を積める、かなり大きなカーフェリーが運航している。甲板からカモメのショーや周囲の島々を眺めているうちに、いつの間にか下船の時刻だ。
わずか30分でチャンボン島に着いた。まずは帰りの便の時刻を確かめてから、観光案内所に立ち寄った。
「トレッキングをするんですって?よく来たね。チャンボン島は歩くのにもってこいだよ。ここに仁川トゥルレギル16コースが通っているのは知ってるでしょう。それに加えてチャグンモルコッツとチャンボン島バリアフリーロードも足して歩いてみて。きっと満足するから」
イ・ソニ解説員は話し終えると、案内地図を手渡してくれた。歯切れのよい説明と、島の隅々までよく描かれた地図をもらい、心強かった。
観光案内所の隣には人魚の像がある。チャンボン島は古くから豊かな漁場として名を馳せてきた。昔々、ある漁師の網に大きな魚がかかった。よく見ると、半分は魚、半分は人間だった。漁師は人魚を哀れに思い、海へ逃がしてやった。その日を境に漁師の網はいつも魚でいっぱいになったという、人魚の恩返しの伝説が今に伝わっている。
海に阻まれ、近くて遠い場所
本格的に仁川トゥルレギル16コースを歩き始める前に、海岸線に沿ってチャグンモルコッツに立ち寄った。住民はトクバウィと呼ぶこともある。人魚像から15分の距離だ。「モルコッツ」という名前が面白い。潮の満ち引きによって海に沈むため、近くて遠い場所という意味なのだという。ここは大小さまざまな岩が積み重なった無人島だ。
海岸から島まで吊り橋がかかっている。優雅な曲線を描く吊り橋を渡ると、チャグンモルコッツにたどり着く。あずまやがあり、木の階段を伝って海辺まで下りられる。ちょうど潮が引く時間で、激しい潮流が流れていた。チャグンモルコッツの手前の路地には、チャンボン島の主な名所を描いた壁画がある。
「ㄴ」の字を寝かせた形のチャンボン島の眺め
道はサンサン峰の登り道へと続く。海岸を離れて数歩進むと、ひっそりとした森の道が現れる。山容がなだらかで、道もゆるやかだ。木陰の森なので空気がすがすがしい。道の起伏に合わせてリズムを刻みながら20分ほど登ると、あずまやが現れる。
ここがサンサン峰の頂上だ。標高は約114メートル。チャンボン島の最高峰・国師峰(150メートル)より低いが、船で島へ入るときに見ると、島でいちばん高く見える。あずまやに腰を下ろすと、涼しい潮風が汗を冷ましてくれた。
サンサン峰からは四方に眺めが開ける。東には海を越えてモド島、北には摩尼山がそびえる江華島、南には船が出発した永宗島が見える。西にはチャンボン島の細長い島影が一望できる。ようやくチャンボン島がどんな形をしているのか見当がつく。潮が大きく引いて、島の周りには干潟が姿を現していた。干潟はひと目で肥沃だとわかる。あそこでハマグリやテナガダコ、アサリなどが採れるのだと思うと、腹の虫がぐうと鳴った。
桜のトンネルに架かる小ぶりな橋
サンサン峰を下ると、いったん集落を抜けて、再びコモジ山へと登り返す。道標が整っているので道に迷う心配はない。山道はサンサン峰側よりもいっそう穏やかでなだらかだ。うわばみが塀を越えるようにコモジ山を越えると、吊り橋にたどり着く。吊り橋はチャンボン路の上をまたいで架かっている。道路を横断せずに済んで便利なうえ、橋そのものもすらりとして美しい。
わずかに揺れる吊り橋から眺める景色がすばらしい。桜並木がトンネルをなす静かな道である。チャンボン島は意外にも桜の名所だ。オンアム海水浴場からマルムン峠までの約2キロメートルの区間が桜のトンネルとなり、花が咲くと祭りが開かれる。チャンボン島は桜の開花が遅く、4月中旬ごろまで花を楽しめる。
老若男女がくつろげる森の道
仁川トゥルレギル16コースは吊り橋を折り返し地点として向きを変え、オンアム海水浴場を経てチャンボン船着場へ戻る。吊り橋から20分ほど進むとチャンボン島バリアフリーロードがあるので、立ち寄ってから行くのがおすすめだ。観光案内所のイ・ソニ解説員が強くすすめてくれた場所でもある。
バリアフリーロードは約1キロメートルにわたって整備されている。静かな森に歩きやすいデッキが延びていて、まるで森林浴場に来たような気分だ。思わず口笛が出るような道をたどると、バリアフリーロードの頂上に立つ。
頂上は永宗島の方向に視界が開けている。仁川空港の展望台と呼んでもよいほどだ。設置された望遠鏡でのぞくと、空港の滑走路から飛行機が飛び立つ様子がよく見える。飛行機はゆっくりと高度を上げ、チャンボン島の上空を飛んでいった。干潟のほうに目をやると、海苔の養殖場がびっしりと広がっている。海苔はチャンボン島の特産品の一つだ。
松林の下に広がるオーシャンビューのキャンプ場
バリアフリーロードから再び吊り橋へ戻り、オンアム海水浴場の方向へ進む。森の道を15分ほど歩くと海水浴場に着く。全長2キロメートルに及ぶ海水浴場は傾斜がゆるやかで砂もきめ細かい。引き潮のときには砂浜の向こうに干潟が現れ、干潟の潮干狩りが楽しめる。
ここはチャンボン島の宝の中の宝だ。浜辺は一抱えもあるクロマツで埋め尽くされている。住民たちは海水浴場をキャンプ場に仕立てた。クロマツの合間にキャンプ用のデッキが点々と設けられている。これほど雰囲気のよいキャンプ場は全国的にも珍しい。キャンプデッキはどの場所からも海を望める。トイレ、飲料水場、分別回収場など便利な設備がよく整っているおかげで、キャンパーの間では七つ星ホテルと評判だ。
オンアム海水浴場を最後に、チャンボン船着場へ戻る番だ。歩けば20分ほどかかるが、道路沿いの道なのでバスを利用してもよいだろう。海水浴場前のバス停から毎時35分ごろにバスが出発する。
チャンボン島にこんな秘境が!
時間に余裕があれば、海食洞窟に立ち寄るのもおすすめだ。最近になって知られるようになった隠れた絶景で、知る人ぞ知る場所である。バリアフリーロードを歩いた後、バスを利用して訪ねることができる。バリアフリーロードの頂上から国師峰の方向へ150メートルほど下ると道路に出る。ここでバスに乗る。運転手にカングジ海食洞窟へ行くと伝えれば、チャンボン2里を少し過ぎたところで降ろしてくれる。そこから「カングジ海食洞窟600m」の案内板に沿って進む。海岸から左へ5分ほど歩けば洞窟にたどり着く。帰りはチャンボン2里からバスに乗ればよい。
チャンボン島の海食洞窟が変わっているのは、ほかと違って二つ並んだ双窟である点だ。海から見ると、まるでギリシャの兜のような形をしている。双窟は兜の両目にあたる。洞窟の中から眺めると、二つの洞窟がまるで恐竜のように見えることから「恐竜海食洞窟」とも呼ばれる。海食洞窟を見るには潮の時間をうまく合わせる必要がある。潮が引いたときにしか見物できないのだ。
永宗島のサンモク船着場からチャンボン島行きのカーフェリーは午前7時から午後8時まで、チャンボン船着場からサンモク行きは午前7時から午後7時まで、毎時ちょうどに出発する。運航本数が多く、わずか30分で到着するので、日帰りでも十分に楽しめる。
サンモク船着場には無料駐車場がある。仁川駅や雲西駅などからサンモク船着場へ向かうバスが運行している。チャンボン島の公共バスは船の時間に合わせて1時間間隔で走っている。
- サンモク船着場の船便問い合わせ:☎️032-751-2211(セジョン海運)
チャンボン島は干潟が肥沃だ。干潟からは質のよいハマグリ、テナガダコ、サザエなどが採れる。チャンボン2里の「シッケク」 という食堂は、旬の食材を使って品数豊富なおかずを出してくれる名店だ。ハマグリのスープ、サザエのビビンバ、ハマグリのカルグクスなどが得意で、盛り合わせも可能である。
- 住所:仁川広域市 甕津郡 北島面 チャンボン路 537番ギル10 1階(シッケク)
- 問い合わせ:0507-1324-9398