江華島の北西に位置する喬桐島。ここは韓国戦争の時に黄海島から避難してきた人たちが定住し、「失郷民の島」とも呼ばれた。 2014年に喬桐大橋が架かるまでは外部から切り離されていた経緯があり、現在も検問所で通行証をもらわないと入島できないため、美しい風景と失郷民の文化が長い間保たれてきた。 喬桐島のあちこちを歩きながら時間を遡ってみよう。
喬桐ツバメの巣は、江華郡の住民が運営する複合文化施設兼観光案内所。 喬桐島の過去と現在が一目でわかるだけでなく、韓国人・外国人向けのガイドブックも用意されているので、喬桐島に着いたらまず立ち寄ってみることをお勧めする。
最も目を引くのは様々なツバメのオブジェだ。入口を守る大きなツバメをはじめ、全部で28羽のツバメが建物のあちこちで存在感を放っている。 喬桐島のシンボルであるツバメは、黄海島と喬桐島を自由に行き来する渡り鳥で、失郷民の郷愁と帰郷の願いを象徴している。
喬桐ツバメの巣では、様々な体験コンテンツも利用できる。喬桐島の歴史を映像で見るデジタルギャラリー、自分でデザインする「平和の橋づくり」、オリジナル新聞を完成させる「喬桐新聞づくり」(有料)などが代表的。
喬桐島大龍市場は、喬桐島の昔の面影を最も身近に感じられる場所。 韓国戦争後、故郷に帰れなくなった失郷民が黄海島の延白市場を思い出しながら作った。 伝統市場としての機能はほぼ失われたものの、あちこちに昔の映画ポスターや昔の風景を再現したオブジェがあり、見ているだけでも楽しめる。
大龍市場は独特のグルメが多いことでも知られている。 「喬桐理髪館」ではそうめんと手作りマッコリ蒸しパンが、「青春ブラボー」では延白風カンアジトク(大福餅)が食べられる。 市場の真ん中にある「第一茶房」では手作り双和茶を飲みながら一休みでき、夏には喬桐産の小豆を使った小豆入りかき氷や冷たいミスカルが人気だ。
もち米ドーナツ、とうもろこしホットクからごま油の瓶のような容器に入ったミルクティー、缶に入ったポテトチップスまで、若者に受けそうなグルメも豊富なので、1食は市場で済ませるのもいいかもしれない。
釜の蓋を伏せたような形から名付けられた華蓋山。喬桐島で最も高いこの山の上に華蓋庭園がある。
華蓋庭園は、断絶された歴史の傷を癒し、平和のメッセージを伝えるために造られた。5つの庭園が水、歴史文化、思い出、平和、癒しなど、喬桐島の歴史と自然を思わせる名前を持っているのも、それと関係している。
チケット売り場の近くには、山頂行きのモノレールがある。所要時間は約20分。歩くと40分ほどかかるので、行きはモノレールを利用し、帰りは歩いて下りながら庭園を眺めるのがおすすめだ。
頂上には江華郡のシンボルであるクロツラヘラサギをイメージしたスカイウォーク展望台がある。 平和と希望のメッセージを運ぶかのように北に向かって飛翔する姿と、北朝鮮の延白平野、喬桐平野まで見渡せる清々しい景色が印象的。
庭園のあちこちに隠れている釜蓋のオブジェを探す「釜蓋スタンプラリー」も常時行われている。全8か所のうち6か所でQRコードを読み取ると、チケット売り場で江華の郷土米「ナドゥル米」がもらえる。
[tip]
- モノレールで登る時は右側、下りる時は左側の席に座ると、窓の外の景色がよく見える。
- スカイウォーク展望台は、気象状況により運営が制限されることがある。
喬桐島で北朝鮮に最も近いパンモリ山のふもとに喬桐島望郷台がある。北朝鮮から3kmしか離れていないため肉眼でも黄海道の風景が見られ、望遠鏡を使えば建物や住民の姿まで見える。
ここは韓国戦争後に故郷に帰れなくなった失郷民の悲しみを慰めるために造成された。 望郷台の一角に故郷を失った悲しみと郷愁を表現した詩碑があり、韓国戦争当時の状況と北朝鮮の様子を収めた写真が展示されているのも、そうした理由からだ。 様々な展示を見ていると、北朝鮮がすぐそばにありながら行くことができない現実がなんとも切なく感じられる。
「懐かしい故郷、自由に行き来できる日が来ることを祈っています」。短くも切実な文が心に長い余韻を残す。