韓国旅行の始まりと終わりに利用する仁川国際空港。出入国前後に時間があれば、たとえ短くても時間を有効活用して空港周辺で旅を楽しもう。 空港が位置する永宗島では、山と海、グルメと体験がすべて楽しめる。 海岸に沿って歩けるトゥルレキルや千年の歴史を持つお寺、飛行機が見える大型カフェ、夕焼けに赤く染まるビーチなど、印象深いスポットがたくさんある。 そのために空港到着時間を早めてもいいかもしれない。特に外国人旅行者にとっては、韓国の魅力を半日で凝縮して体験できる素晴らしいコースになるはず。
礼緞浦(イェダンポ)は、海の景色が美しいことで知られ、永宗島で「隠れた宝石」と呼ばれている。 礼緞浦という名前には、王様に献上する絹織物が集まった港という意味がある。 現在はこぢんまりとした静かな港だが、海の上に漁船や小さな島々が浮かんでいる風景は、今もなお美しくぬくもりを感じさせる。
礼緞浦港には「仁川の中の済州島」と呼ばれる礼緞浦トゥルレキルがある。 海岸線に沿ってなだらかに延びる約1kmの遊歩道を歩くと、済州島に劣らずエキゾチックな風景が楽しめる。 途中に何か所かベンチがあるので、コバルトブルーの海と大小の島々、波を切って進む船を眺めながら休むこともできる。 遠くに見える仁川大橋とひっきりなしに離陸する飛行機は、永宗島ならではの趣を添えている。 トゥルレキルの終点にある東屋までは約15分で、爽快な景色と涼しい潮風が足取りを一段と軽くしてくれる。
散歩の後は、礼緞浦港でエネルギーを補給しよう。新鮮な魚だけを扱っている刺身センターや海の幸をふんだんに使っている海鮮カルグクス店、海を見下ろせる素敵なカフェがひしめき合っている。
永宗島市街地の真ん中に佇む由緒あるお寺。670年に創建された龍宮寺だ。 お寺に入ると、樹齢1300年の巨大なケヤキ2本がまず目に留まる。 幹は中が空洞で樹皮だけが残った独特な形をしており、20メートルの高い枝にはまだ緑の葉が茂っている。
龍宮寺は、願い事を叶えてくれる願掛けスポットとしても有名。 穏やかな表情で来訪者を見下ろす高さ11メートルの弥勒仏の横に、願い事を叶えてくれるという願掛け岩がある。 お寺の庭の一角には、コインを投げて願い事をする池もある。誰かのささやかな願いや切実な願いがここに集まる。
お寺の横に続いている小道は、永宗トゥルレキル第2コースに当たる区間。ひっそりした森の小道を歩いていると、自然と調和したお寺の風情を一段と深く味わうことができる。
スターファイブカフェはその名の通り、空間、パン、飲み物、アート、眺めという5つの楽しみが詰まった複合文化施設。 一番印象的なのは、何と言ってもその眺望。大きなガラス張りの窓越しに、空港の滑走路と飛行機の離着陸の様子が見られる。 気に入った席に座って滑走路を眺めながら、至福のティータイムを楽しもう。 メープルシロップとなめらかな手作りクリームでつくるメープルクリームラテは、ここでしか味わえないシグネチャーメニュー。
店内はおしゃれなインテリアが印象的。高い天井と見晴らしの良い全面ガラス張りの窓がもたらす開放感、壁を埋め尽くすアート作品は、まるでギャラリーに来たような気分にさせてくれる。 実際に無料の企画展やクラシックコンサートなどが随時開催され、文化的欲求も満たされる。コンサートや展示の情報は、インスタグラムで事前に確認できる。
永宗島から舞衣大橋を渡って舞衣島の西側に行くと、ハナゲ海水浴場がある。 「大きな干潟」という意味の名前が示す通り、広大な砂浜と干潟が広がり、干潮時には靴を脱いで干潟の上を歩く人が多い。 干潟は泥の粒子が細かく硬いため、裸足で歩きやすい。干潟にはシオフキガイ、アサリ、カニなどが生息しており、潮干狩りを思いきり楽しめるので子どもに人気がある。
ここのハイライトは、海水浴場の南端から始まる長さ1kmの海上木橋「海上観光探訪路」だ。 左には奇岩怪石、右には果てしない海が広がり、満潮時には海の上を歩くようなスリルが味わえ、干潮時には生命力あふれる干潟を観察できる。 獅子岩、万物相、望夫石、オットセイなど、それぞれの形に合わせて名付けられた奇岩怪石の名前も面白い。
海水浴場の真ん中にそびえる青い鉄の構造物はジップラインタワーだ。 マンション8階相当の高さからスタートするジップラインは、黄海を望みながら砂浜の上空を爽快に横切る。 長さは420mと短めだが、時速40~60kmで滑空し、強烈なスリルが味わえる。6月から10月までは毎日、それ以外の期間は週末のみ利用できる。
ハナゲ海水浴場が最も美しい時間は、夕焼けが海を染める夕暮れ時だ。干潟と島、海と空がひとつになり、赤く染まるここの日の入りは、絵のように美しい。水平線の向こうにゆっくりと日が沈むと、日頃の悩みも忘れてしまう。
[TIP]
- 浦内干潟体験場で体験料金を支払ってから干潟体験が可能、利用期間は4月~10月
- 海水浴場の入口側に足洗い場あり。裸足で歩く体験をする場合はタオル持参推奨