何日も大雨が降り、ほんの少し動いただけでも体がジメジメしてくる。
なかなか外に出る気になれない梅雨の時期こそ、屋内スポットの魅力を満喫したい。
メディアアートの展示を鑑賞しながらアート三昧の午後を過ごすのもオツで、懐かしいお菓子を眺めながら子どもの頃を思い出すのも楽しい。
雨に濡れることなく半日ほど過ごすのにちょうどいい屋内スポット4か所をご紹介する。
首都圏初・最大規模の海洋専門国立博物館、国立仁川海洋博物館
月尾島の名所・月尾テーマパークの前に、梅雨の時期でも天候に左右されない特別な博物館がある。2024年12月に開館した海洋専門の国立博物館「国立仁川海洋博物館」で、釜山に続いて2番目、首都圏では最初にして最大規模だ。
うねる波をモチーフにした白い建物は、背後には月尾山がそびえ、目の前には仁川の海が広がっている。
傘を差してもすぐに濡れてしまうような雨の日は、窓に打ち付ける雨を室内から眺めたり、韓国の海洋交流の歴史について学んだりしながら、のんびりと時間を過ごすことができる。それに、全部無料だ。
地上4階建てで総面積1万7,000㎡以上の博物館には、常設展示室(3室)、企画展示室(1室)、デジタルイマーシブ映像室(2室)、こども博物館(1室)などが備わっている。
展示の規模が大きいだけに、選択と集中が求められる。主な施設は、1階のデジタルイマーシブ映像室、常設展示室の1つである2階の海洋交流史室。
1階のデジタルイマーシブ映像室では、400年前に朝鮮王仁祖の即位を知らせるため、海を渡って明へ向かった使節団の旅を描いた絵『航海朝天図』の再現映像を上映する。
船が漆黒の海を航行する場面が270度の超大型スクリーンで観られるので迫力満点。
2階の海洋交流史室では、三方を海に囲まれた半島である韓国が、先史時代から今日に至るまで海を渡って外の世界と交流してきた歴史を紹介する。
約8000年前に作られたと推定される「昌寧飛鳳里船」、韓国で最も古い船のひとつ「霊興島船」のレプリカ、高麗の青磁運搬船など、珍しい海洋関連遺物が集まっている。
デジタル技術と体験要素を取り入れてリアルな展示が楽しめる点も印象的。例えば、展示物の前でQRコードをスキャンすると、自分のスマートフォンに遺物が3Dで表示される。
3Dで再現された展示物を指で自由に回転させたり、関連ストーリーを読んだりしながら、遺物への多角的なアプローチができる。
こども博物館では、子どもたちが「ちびっこ航海士」になって実際に舵を動かしてみたり、タッチパッドを操作しながら船の構造に関するパズルを完成させたりできる。
[TIP]
- 未就学児・小学生向けのこども博物館は完全予約制(電話予約、+82-32-620-1091)
- 予約により英語・中国語の展示解説を無料で提供(希望日の2日前までに+82-32-620-1096に電話で予約。火~日曜日の10:00~16:00、約1時間)
ごま油工場をリノベーションしたメディアアート展示施設、アートファクトリー・チャムギルム江華
ごま油の香ばしさ漂う工場が、幻想的なメディアアートの展示を楽しめる複合文化施設に生まれ変わった。
仁川広域市江華郡吉祥面の緑豊かな森に囲まれた「アートファクトリー・チャムギルム江華」だ。デジタルメディア企業のKNOWCKがごま油工場をリノベーションし、2024年にオープンした。
ジメジメとした梅雨の時期に屋内で展示を見ながらアート三昧の一日を過ごすのにもってこいのスポット。.
メディアアート展示館は、1館と2館に分かれている。1館では、没入型メディアアート展「夢の散歩」が見られる。
江華島の自然と伝説、空想の風景をモチーフにした超現実的な雰囲気の展示だ。幻想的な森から巨大な白いウサギが飛び出してきたかと思えば、江華島の伝説に登場する虎と目が合ったりする。
2館の展示「エドヴァルド・ムンク:闇の彼方」では、代表作『叫び』で知られる表現主義の画家、ムンクの名画を音楽とともに鑑賞できる。
苦しみ、喪失、希望など、ムンクの味わった様々な感情が1つの旅として構成されており、彼の作品に視覚的にのめり込める。
展示の余韻は、メディアドローイング体験へと続く。自分で色を塗った絵がリアルタイムで大型スクリーンに映し出される一種の参加型展示だ。
自分の絵がスクリーンを漂い、他の人の作品とひとつになる様子を見ながら、巨大な合同作品の制作に参加したような充実感が得られる。.
広いカフェでくつろげるのも魅力だ。全面ガラス張りの窓際席は、雨の日は特に風情がある特等席。
ピーナッツとごま油入りでナッツの風味が濃厚な「ナッツごま油ラテ」と、甘い抹茶ラテにごま油をプラスした「抹茶ごま油クリームラテ」が人気メニューだ。
[TIP]
- 展示館内と外での写真撮影が可能(館内でのフラッシュ使用は禁止)
- 住所仁川広域市江華郡吉祥面カチゴルギル109(吉稷里)
- お問い合わせ1660-1094
- 利用時間火~金曜日 10:00~18:00, 土日祝日 10:30~23:00 10:00~21:00, 月曜日定休
- ウェブサcharmgiroom.com
チャジャンミョン発祥の地にできた麺がテーマの複合文化施設、ヌードルプラットフォーム
ヌードルプラットフォームは、麺をテーマにした複合文化施設で、チョルミョンと韓国風ジャージャー麺「チャジャンミョン」発祥の地として知られる仁川市中区にある。
チャジャンミョン、チョルミョン、冷麺、カルグクスなど、仁川の代表的な麺料理をテーマに、展示や体験、教育が行われる。
地下鉄水仁盆唐線新浦駅から徒歩10分とアクセスが良く、入場料も無料のため、気軽に足を運べる。
3つのフロアで構成されるヌードルプラットフォームの主な施設は、1階の第1展示室。
1883年の仁川港開港後に発達してきた麺料理の歴史と文化に触れられるだけではなく、レトロな「仁川ヌードル通り」をバックにフォトジェニックな写真も撮れる。
2階は子ども向けの体験スペースで、3階は飲食業の起業を志す人向けのオープンキッチンなどとして利用されている。
「仁川ヌードル通り」には、開港期に仁川で繁盛していた麺料理店が集まっている。
チャジャンミョン屋や冷麺屋など店の外観がリアルに再現されており、当時の生活の様子をうかがい知ることができる。麺をすすって空腹を満たした庶民の姿が重なる。
チョルミョン工場第1号の「クァンシン製麺」から寄贈された製麺機などの関連遺物、アジアの国ごとに異なる形の箸でボールを移動させる体験も目を引く。
仁川ヌードルパスの使い方
- 仁川の代表的な麺料理4品が2万ウォン台で味わえる「仁川ヌードルパス」の購入で食べ歩き
- 仁川の代表的な麺料理店12店の中からお好きな4店を選んで利用可能
- 各店の代表的な麺料理を各1品、合計4品提供
- ヌードルプラットフォームを訪れた方には仁川開港場一帯の博物館・展示館5か所の統合観覧券を提供
- 住所仁川広域市中区新浦路27番ギル36
- お問い合わせ+82-32-766-3770
- 利用時間火~日曜日 09:00~18:00, / 毎週月曜日、1月1日、旧正月・秋夕当日は休館
- ウェブサijcf.or.kr
子どもの頃の懐かしさがよみがえる巨大な菓子博物館、仁川商会
濡れた傘を閉じて中に入ると、懐かしいお菓子に囲まれる。
仁川広域市江華郡の席毛島にある仁川商会は、近現代のお菓子の歴史をテーマにした博物館。
1960~1980年代にかけて発売されたお菓子・飲料・アイスクリームなど、様々な商品のパッケージと懐かしい雑貨が展示されている。
展示品の数は1万2,000点以上。
子どもの頃に憧れた巨大なお菓子の博物館を作ったのは、イ・イギョ氏だ。
5歳の時から薬草を採りに出かけ、山によく登ったイ氏は、たまたま地面に埋まっていた古い瓶を見つけ、収集に興味を持つようになった。
それから20年以上かけて全国を回りながら昔の菓子袋、懐かしいジュースの瓶、賞味期限が切れたラーメンなどを集め、現在の博物館に展示した。
展示館はお菓子、飴・アイスクリーム、ラーメン、瓶、思い出(洋銀弁当箱・公衆電話・蓄音機)など、テーマ別に分類されている。
真っ先に来館者を迎えてくれるのは、1971年に10ウォンで販売されていたお菓子「ウエハース」のパッケージ。
現在も販売中の「コレパプ」、親世代好みの「マットンサン」、現在は販売されていない「トルトリ」など、一世を風靡したお菓子のパッケージが、忘れていた思い出を呼び覚ます。
ちょっとした体験もできる。ヤクルトおばさんのユニフォームを着て記念写真を撮ったり、古いタイプライターを打ちながら昔の雰囲気を間接的に体験したりできる。