先人の知恵を垣間見ることができる歴史的な遺跡から、商人の温かい人情と温かい食べ物であふれる伝統市場、家族みんなで和気あいあいと楽しい思い出作りができる伝統体験スポットまで、好みで選んで楽しもう。
伝統はただ見るだけではなく、体験して感じるもの。ソチャンという伝統的な綿織物でオリジナルのハンカチを作ったり、『イカゲーム2』に出てきたチェギ蹴りに挑戦したりしながら充実した旧正月を過ごそう。
自分で作ったソチャンのハンカチがとても柔らかい!江華ソチャン体験館
ソチャンは「生きている間に1反、死んでから1反」使うと言われた。赤ん坊の布おむつに使われ、棺を縛る紐にも使われたからだ。
誕生と死の瞬間を共にした布、ソチャンは、綿花から糸を紡いで織った天然の綿織物で、柔らかく吸水性に優れるため、布おむつやハンカチ、ふきんなど、用途が幅広い。
江華島はソチャンの産地で、1930年代から1970年代にかけて織物産業が盛んだった島には60余りの織物工場があった。
現在のようなソチャン体験館に生まれ変わった平和織物もその一つ。1956年創業の平和織物は、ソチャンと人絹織物を生産していた。
ソチャン体験館はソチャンの製造過程を展示し、ソチャンハンカチ作りや韓服体験、伝統茶の試飲など、様々な体験ができる。
代表的な体験は、白いソチャンにスタンプを押して自分だけのハンカチを作る「ソチャンハンカチ作り」(体験料無料、体験時間20分、要電話予約)。
子どもから大人まで家族みんなで楽しめるのでいつも人気。サツマイモやカブ、高麗人参など、江華の特産品を図柄にしたスタンプをきれいに押せば、世界に一つだけのソチャンハンカチが出来上がる。
1890年代から1950年代まで使用されたミシン、平和織物で製造された生地など、昔の工場の名残も見どころ。
こじんまりとした庭園を過ぎると現れる韓服体験館は、韓服体験(1時間、1人3,000ウォン、要電話予約)ができる空間。
高麗がモンゴルの侵略から逃れて首都を江華島に移した歴史にちなんで、高麗の衣装も揃っている。きれいな韓服を着て記念写真を撮りながら新年をスタートできる。
[Tip!]
- ソチャン体験館から徒歩10分のところに江華島の人気カフェ、朝陽紡織がある。1933年に韓国人兄弟が設立した江華島初の織物工場で、現在はレトロなカフェとして有名。
昔の官庁で『イカゲーム2』のチェギ蹴りに挑戦!仁川都護府官衙
現代人は、各種届出や証明書発行などの行政手続きをするために、市役所などの役所に行く。
朝鮮時代の仁川に住んでいた人たちはどこに行っただろうか。きっと朝鮮時代の行政機関である「都護府」に行ったことだろう。
仁川都護府官衙は仁川の行政業務を行っていた地方官庁。仁川広域市有形文化遺産でもある実際の建物は、近くの小学校の校庭に一部だけ保存されており、立ち入りが制限されている。
その代わり現在の場所には過去の記録をもとに*客舎や*東軒など7棟の建物が再現され、昔の様子をうかがい知ることができるようになっている。
*客舎:官庁を訪れた役人や使者が泊まった場所
*東軒:都護府の長である府使の執務室
仁川都護府官衙が旧正月や秋夕の連休に注目されるのは、家族そろって伝統遊びを無料で楽しめるからだ。
入場料が無料な上に、予約なしでいつでも利用できるので、1時間くらいのちょっとしたお出かけにぴったりだ。
正門を入ると見える広い庭には*チェギ蹴り、*ユンノリ、*投壺、弓など、様々な民俗遊びの道具が用意されている。
*チェギ蹴り:チェギという羽根のようなものを地面に落とさないように足で蹴り上げ続ける遊び
*ユンノリ:ユッカラクと呼ばれる棒を投げ、落ちた棒の状態に応じて駒を進める双六に似た遊びで、2022年に国家無形遺産に指定
*投壺:壺に矢を投げ入れ、入った矢の数を競う遊び
スマートフォンもパソコンもなかった昔の人は、元旦に家族と一緒にトッククを食べ、ユンノリという伝統遊びなどをしながら新年の無病息災を願ったことだろう。
家族が健康であるように、今年も作物が豊作になるように、今日のように万事が平穏無事であるようにと。時代は変わっても、家族との時間が大切なのは変わらない。
家族みんなで集まってチェギ蹴りをしたり弓を射ったりと、久しぶりにのんびりとした時間を楽しめる。
Netflixオリジナルドラマ『イカゲーム2』に出てきたチェギ蹴りに挑戦し、チェギを落とさずに連続して蹴り上げた回数を競うのも楽しい思い出になりそうだ。
ドラマでは5回連続で蹴り上げればゲームをクリアできた。朝鮮時代の地方官が働いていた官庁で伝統遊びを楽しめるというのは貴重な体験だ。
- 住所 仁川広域市弥鄒忽区買召忽路589
- お問い合わせ +82-32-422-3492
- 利用時間 夏期(3月~10月) 10:00~19:00、冬期(11月~2月) 10:00~18:00 / 毎週月曜日定休
- ウェブサイトhttp://dohobu.org
家族と一緒に自分だけの陶磁器が作れるクレイスター星陶芸工房
クレイスター星陶芸工房は青羅湖水公園のすぐ隣にある陶芸工房。主に白土に釉薬を掛けた作品を展示しており、形と色の調和がおしゃれな白磁の食器が印象的。
工房は、作品を買いに来た客と陶芸教室の受講生が出入りするスペースをそれぞれ分けている。
陶芸工房では、電動ろくろ、手びねり、アンティーク陶磁器作りなど、様々なワンデークラスを行っている。
旧正月連休中も営業しており、作業スペースは大家族が来ても余裕があるくらい広々としているので、長い連休中に特別な過ごし方ができそうだ。
クラスを予約したら、当日は汚れてもいい服を着て行こう。初心者でも心配ご無用。弘益大学陶芸ガラス科を卒業し、日本の京都アートセンターで作家に選ばれた経歴を持つ講師が、初心者の目線に合わせて体験をサポートする。
おすすめのワンデークラスは「ろくろ体験完成品1作品」。指先に伝わる土のぬくもりを感じながら、1時間かけて自分だけの陶磁器を作る時間だ。
ご飯茶碗、カップ、湯呑み、お皿など何でも構わない。それぞれの日常に追われて会話がなくなっていた家族も、ここでは自然と会話が弾む。
作品の形や土の感触、ろくろの回し方など、すべてが話のネタになる。作品が形になっていく過程で感じる喜びもある。出来上がった作品は、家族と楽しく過ごした時間を思い出す記念にもなる。
すべての作品は出来上がるまでに8週間から10週間ほどかかる。破損防止のために直接受け取りに来るのが原則で、宅配便で受け取る場合は送料がかかる。
[Tip!]
- ワンデークラスでは、簡単な英語での意思疎通が可能。
古宅の前庭で民俗遊びを楽しもう!月尾公園養真堂
首都圏地下鉄1号線・水仁盆唐線仁川駅から2km離れた月尾公園は、月尾山を囲むトゥルレ道、仁川の海を見下ろす月尾展望台、韓国移民史を紹介する韓国移民史博物館など、見どころが豊富。
旧正月連休を迎えて一番最初に行くべき場所は、東門近くの韓国伝統庭園にある養真堂だ。
*安東河回村の古宅である養真堂を模した建物で、前庭でチェギ蹴り、投壺、*コマ回し、*輪回しなど、様々な民俗遊びを無料で体験できる。
別途申し込み不要で誰でも利用できるのがうれしい。韓屋の風情が漂う古宅の前庭は写真映えするスポット。
輪回しをする子どもをカメラに収めたり、家族で誰がコマを一番長く回せるか競争したりと、のんびりした時間が過ごせる。
*安東河回村:ユネスコ世界文化遺産に登録されている民俗村
*コマ回し:氷の上でコマを棒で突いて長く回す遊び
*輪回し:丸い車輪を倒さずに棒で転がす遊び
民俗遊びを楽しんだ後は、韓国伝統庭園を残らず見て回ることをおすすめする。
ソウルの昌徳宮後苑の芙蓉池、全羅南道潭陽の瀟灑園、慶尚北道英陽の瑞石池など、全国で美しいと評判の伝統庭園をまとめて再現した。実際の芙蓉池は、ジュノ、イ・セヨン主演の宮廷恋愛ドラマ『赤い袖先』のロケ地でもある。
[Tip!]
養真堂の近くには、乳幼児連れ向けのベビー休憩室がある。授乳用ソファ、おむつ交換台、ベビーチェア、電子レンジなどが備え付けてある。