先人の知恵を垣間見ることができる歴史的な遺跡から、商人の温かい人情と温かい食べ物であふれる伝統市場、家族みんなで和気あいあいと楽しい思い出作りができる伝統体験スポットまで、好みで選んで楽しもう。
素朴で人間味にあふれ、国内外の若者に注目されている伝統市場をご紹介する。
*以下にご紹介する市場は旧正月連休中も営業していますが、お店によって営業日が異なりますので、事前に確認してからご訪問ください。
行列のできる人気店が立ち並ぶ伝統市場、新浦国際市場
新浦国際市場に行くには、まず「行列に並ぶ覚悟」が必要。
市場内には全国的に有名なグルメ店が多く、平日でも行列ができる光景をよく見かけるからだ。
代表的なグルメが集まっている路地に沿って様々な食べ物が並んでおり、少し歩いては立ち止まっての繰り返しになる。
中でも一番目を引くのは、新浦国際市場名物のタッカンジョン。
カリッと揚げたての鶏肉にタレを絡める様子は、見ているだけで食欲をそそられる。
タッカンジョンと並んで市場を代表するグルメとしては、中が空洞でモチッとした食感と甘みが絶品のコンガルパン、炭火で焼いた塩味の焼き海苔、外はサクサクで中はやわらかいエッグタルトなどがある。
新浦国際市場は仁川初の常設市場で、100年の歴史を誇るだけあって隠れた見どころも満載。
裏路地には市場の歴史を伝える野菜市場のオブジェがある。19世紀末の仁川開港に伴って開港場周辺に外国人居住地が形成され、自然と野菜を売るところもできた。
これが新浦国際市場の始まりだ。上記のオブジェは、市場の初期の様子を象徴的に表していると言える。
他にも、新鮮な刺身で有名なニベの刺身屋通り、洋服お直しの老舗が集まるお直し屋通り、映える写真が撮れる赤い灯台のオブジェなどがちょっとした見どころになっている。
市場入口の向かい側には、チョルミョンを最初に開発したとされる「新浦ウリマンドゥ」、様々なカルグクスが味わえるカルグクス通りがある。
新浦国際市場は市場だけでも十分に訪れる価値があるのだが、周辺にも見どころがたくさんあり、旅の楽しみが増す。
徒歩5分のところに最近ドラマ『熱血司祭2』のロケ地として注目されている近代建築物の畓洞聖堂(史跡)があり、新浦ファッション文化の街側の入口は仁川を代表する名所の開港場通り、チャイナタウン、自由公園、松月洞童話村とつながっている。
この一帯は、時間が止まったかのように過去の趣が残っており、『二十五、二十一』、『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』、『ミスター・サンシャイン』など、映像美が際立つ数々の人気ドラマにも登場している。
開化期の衣装をレンタルしてドラマの主人公になったつもりで開港場通りを散策し、韓国風ジャージャー麺発祥の地であるチャイナタウンで韓国の元祖ジャージャー麺を味わってみよう。
[Tip!]
- 周辺のおすすめスポット
新浦ウリマンドゥ:毎日 10:00~21:00、旧正月連休は休業
- 市場から徒歩5分の畓洞聖堂公営駐車場を利用すると2時間まで駐車無料
- 仁川国際空港で乗り継ぎ客向けに運営しているツアープログラムの中に、新浦国際市場を訪れるコースがある。詳細は仁川国際空港のホームページで確認できる。
- 市場内の支援センター(土日休業)に行けば、店の情報や行き方などの簡単な案内を受けることができる。
- 住所 仁川広域市中区又玄路49番ギル11-5
- お問い合わせ +82-32-764-0415
- 利用時間 店舗によって異なる / 毎月第1月曜日、旧正月・秋夕当日は休業
快適なショッピング天国、モレネ市場
モレネ市場は仁川地下鉄2号線のモレネ市場駅と直結しており、アクセスの良い伝統市場。
1980年代初めに形成されたが、広い道沿いに大小さまざまな店が軒を連ね、快適なショッピング環境が整っている。
新鮮な旬の野菜や果物をはじめ、新鮮な魚介類、各種衣料品や雑貨など、大型ショッピングモールに負けないほど幅広い商品を取り扱っており、特に旅行者は美味しいものに心を奪われる。
大きな蒸し器で蒸したばかりの肉餃子、キムチ餃子、市場グルメに欠かせない甘くてもっちりしたツイストドーナツをはじめ、K-フードの代表格であるトッポッキ、キンパプなど、旅行者を魅了するグルメが満載。
寒い季節に温かいものが食べたくなったら、串刺し練り天を食べてみよう。ワタリガニ、煮干し、昆布などで出汁をとった程よい塩加減のスープとやわらかい練り天は、冷え切った体を温めてくれる最高の組み合わせだ。
モレネ市場は、もう一つの伝統市場である九月市場とつながっているので、見どころやグルメが充実している。
モレネ市場の南門から50mほど入ると、西に九月市場の入口が見える。
九月市場はアーケードになっているので天気を気にせずに買い物ができ、韓国の伝統食を味わえる餅屋がたくさんあり、旧正月や秋夕には特に賑わう。
その日に作られたツヤツヤのもっちりした餅を一口食べると、思わず笑みがこぼれる。
モレネ市場から地下鉄で3駅離れたところに仁川大公園がある。
サッカー場300個分の広大な敷地に庭園、湖水庭園、バラ園、癒しの森、ドッグランなど様々な施設があり、家族みんなで充実した時間を過ごせる。
[Tip!]
- 周辺のおすすめスポット
仁川大公園内ドッグラン:夏期(4月~11月) 10:00~20:00、冬期(12月~3月) 10:00~17:30 / 毎週月曜日定休、旧正月当日休業
- 仁川国際空港で乗り継ぎ客向けに運営しているツアープログラムの中に、モレネ市場を訪れるコースがある。詳細は仁川国際空港のホームページで確認できる。
野球博物館がある珍しい市場、 新基市場
新基市場は野球博物館がある市場として有名。
市場公営駐車場側の屋外スペースに仁川の野球史が一目でわかる野球博物館が設けられている。
規模は小さいながらも、仁川の野球100年史、名誉の殿堂、フォトスポットなど、中身が充実している。一番目を引くのは、仁川で活躍した選手たちのサインボールとユニフォーム。
メジャーリーグで活躍した仁川出身の野球スター、リュ・ヒョンジン選手の高校時代の写真も見ることができる。
プロ野球シーズンになると、市場で野球のユニフォーム姿の人をよく見かける。
仁川をホームタウンとするプロ野球チームSSGランダースの本拠地である仁川SSGランダースフィールドが、市場から車で10分圏内に位置しているからだ。
野球の試合がある日は、観客が球場で食べるものを買いに市場に来ることがある。美味しいものが買えて野球博物館も楽しめるので、野球ファンにとっては尚更嬉しいスポットなのではないだろうか。
野球博物館に行く前に、まずは腹ごしらえから。新基市場で野球ファンがよく買っていくものは、タッカンジョンだけではない。
キムチのチヂミ、そばのチヂミ、じゃがいものチヂミ、きのこのチヂミなど、様々なチヂミが売られている。
ハート型のキムチのチヂミは市場の名物として知られている。老舗が集まっているスンデ通りもぜひ立ち寄りたいスポット。
新基市場の近くにある文鶴山は、食後の散歩にちょうどいい。標高217mと登山の難易度は低めだが、頂上からは絶景が見られる。仁川市街をパノラマで眺めながら運動もできるので一石二鳥だ。
- 住所 仁川広域市弥鄒忽区新基ギル58番ギル6
- お問い合わせ +82-32-865-5424
- 利用時間 店舗によって異なる
マンガのように愉快で楽しい伝統市場、佳佐市場
佳佐市場は「マンガ市場」をテーマに掲げており、入口からしてカラフル。
佳佐市場のマスコットキャラクターであるカンガルーの「カンドリ」と「佳佐市場で楽しい思い出を作ってください!」という吹き出しが描かれた看板は、見ているだけでも楽しい。
市場入口の看板だけでなく、店の看板もマンガ風で統一感があり、魅力的だ。
青年モールの地下1階にはマンガカフェもある。
飲み物を1杯注文するだけで時間制限なくマンガが読み放題となり、飲み物の種類が豊富な上に値段も安いので、市場を歩き回って疲れたら誰でも気軽に立ち寄れる。
マンガ以外にボードゲームも何種類かあるので、併せて利用してみよう。
アーケードになっている市場内には、冬に人気のたい焼きや練り天、餃子など、様々なB級グルメが集まっている。
中でも東門の入口側にある昔ながらのトースト屋が人気で、厚焼き玉子を挟んだトーストが食欲をそそる。
韓国のテレビ番組「ペク・ジョンウォンの路地裏食堂」で紹介された「マンスキンパプ」もトースト屋の近くにある。
海苔の上にご飯と具材をのせて巻く普通のキンパプと違って、サンドイッチのように四角く折りたたむのが特徴。
練り天、チキンボール、トンカツ、ポークフライなど、メインの具材もユニーク。
市場の後に行きたいおすすめスポットとしては、自然豊かな都会のオアシス、青羅湖水公園がある。
高層ビルと湖、人工島が調和した美しい風景とともに、アジサイ園、バラ園、裸足の散歩道、遊び場、自転車道など多彩な施設があり、
家族やカップルで過ごすのに最適。フォトジェニックなオブジェやフォトスポットが多く、その中でも朝鮮時代の宮殿である景福宮の慶会楼を模した楼閣「青羅楼」が代表的。
すぐ隣には、ドラマ『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』に登場した囲碁公園のロケ地もあるので、併せて見て回ろう。仁川の夜景スポットとして有名なので、夜に訪れるとまた違った魅力がある。
[Tip!]
- 周辺のおすすめスポット
マンガカフェ:毎日 10:00~18:00 / 旧正月連休の2025年1月28日~30日は休業
マンスキンパプ:火~日曜日 10:30~21:00 / 毎週月曜日、旧正月当日は休業