寒さで体が冷え切った日は、温かいお茶が恋しくなる。
両手でお茶碗を包み込むようにしてお茶をすすると、寒さも和らいでいく気がする。
冷たい風が吹く11月、心と体に良いお茶が飲める仁川の伝統茶屋3軒を訪ねた。
ナツメを浮かべた双和茶と茶屋のぬくもりが、今年の残りを乗り切る元気をくれた。
Dongyang Tea House Yeongjongdo Main Branch, the Ultimate Hospitality with Ssangwhacha Set
「見た目が良い餅は食べても美味しい」という韓国のことわざは正しかった。
東洋茶屋永宗島本店で注文したお茶がお盆にのって出てくると、極上のおもてなしを受けている気分になる。
伝統双和茶を注文すると、お茶と一緒にお粥・干し柿・お餅など多彩なお茶請けをのせたお盆が運ばれてくるのだ。
味はなんともヘルシーで、お茶の中に入っているナツメと高麗人参をよく噛んで食べると、たちまち元気がみなぎってくる気がする。
東洋茶屋は双和茶専門のカフェ。双和茶が主力メニューだが、どちらかというと仁寺洞の静かな茶屋のイメージよりは、都心の韓屋カフェに近い。
隅々までおしゃれな空間ということだ。
「お客様の10人中9人は必ず写真を撮っていかれます」。
今風の茶屋の魅力は、やはり「フォトジェニックさ」にある。
伝統茶とお茶請けの盛り付けがきれいで、一つ一つに真心が感じられ、どこを見ても素敵なので、写真映えしないわけがない。
お茶碗や小鉢も、陶芸家が一つ一つ手作業で作ったものを使っている。
家に大事なお客さんが来たら一番きれいなお茶碗を出すように、器や盛り付けにおもてなしの心遣いが感じられる。
代表的なメニューは伝統双和茶とナツメ茶。
双和茶は一年中人気だが、特に冷たい風が吹く初冬にその真価を発揮する。
「双和茶は陰と陽の気を調和させてくれます。免疫力を高めて活力を与えてくれるのです」。
体を温めるナツメも、冬に摂りたい生薬だ。
ほのかな甘みのあるナツメ茶は、夜が長い冬の不眠症を改善するのにも役立つ。
「私は双和茶、あなたはコーヒーセット?」東洋茶屋は集まりにも最適。
クッキーとマドレーヌが付いた東洋コーヒーセットから、四季を通じて味わえる小豆入りカキ氷まで種類が豊富なため、それぞれ好みのメニューを注文できてみんなが満足できる。
- 住所80 Ojak-ro, Jung-gu, Incheon
- お問い合わせ +82-32-746-8788
- 利用時間Tuesday-Sunday 10:00-20:00, closed Mondays
- ウェブサイトhttps://dongyangtea.com
韓方茶の世界へといざなうタギョム
「韓国にはコーヒー専門店が10万店以上あります。
誰かが韓方茶でバランスを取らないといけないのではないでしょうか」
青羅湖水公園から3km離れたところにあるタギョムは、様々な韓方茶を提供するこじんまりした茶屋。
韓方茶が体に良いことは誰でも知っている。問題はアクセスだ。
通りには数え切れないほどのカフェがあり、「コーヒーを飲まないと頭が回らない」という人が多いため、茶屋は物理的にも心理的にも距離がある。
このような環境の中で、タギョムは人と韓方茶の距離を縮めるために努力している。
注文したお茶が出てくる前にウェルカムティーが出され、焼きたてのカレトク(細長い餅)が無料で提供され、様々なお茶菓子がサービスで付いてくるのも、すべて韓方茶の敷居を低くするためだ。
店内の一角では、茶器セットや日用陶器など、お茶関連の小物を販売しているので、見て回るのも楽しい。
オーナーは「韓方茶の絶対的な達人」の師匠からお茶を学んだ。師の教え通り、最高級の韓国産材料で日々丹精込めてお茶を淹れている。
その結果、タギョムは友達に誘われて来た客がまた別の客を連れてくるという「芋づる式」に客が増え、「スプーンで食べるナツメ茶」はソウルや京畿道にまで口コミで広まり、遠方からもお客が訪れるようになった。
スプーンですくってもこぼれ落ちないくらい濃厚でとろっとしているため、「スプーンで食べる」ナツメ茶だ。「
ナツメ茶が好きで、全国の茶屋という茶屋はほとんど行ったくらいですが、ここほど美味しいナツメ茶はありませんでした」というお客の褒め言葉からも、お茶に注がれた労力のほどがうかがえる。
特に注文が多いメニューはナツメ茶と双和茶。
最近はナツメラテやナツメヨーグルトの人気が急上昇しているという。
冬が始まる11月には、ナツメ茶に双和茶を半分入れた双和ナツメ茶と喉風邪に効く桔梗茶がおすすめ。
どれも免疫力強化や疲労回復に優れているので、タギョムでお茶を飲めば体に良いことづくめだ。
23種類の薬草を煎じた韓方双和茶の味が楽しめる伝統韓方イファ茶屋
仁川地下鉄2号線佳亭駅から10分くらい歩いただろうか。
ほろ苦い韓方薬の匂いに誘われてイファ茶屋に入る。
店内に漂うお茶の香りや自然を感じさせる木製家具に、故郷のような安らぎを覚える。
2019年9月に店をオープンしたオーナーは、他のカフェとの差別化を図るために韓方茶を選んだ。
1軒おきにカフェがあると言ってもいいくらいの現状に照らし合わせ、伝統茶屋はより幅広い年齢層を取り込めると判断したからだ。
その判断は正しかった。
20代から80代、母親に連れられて来た娘からお年寄りまで、様々な人たちがお茶を飲みながらおしゃべりを楽しむ。
イファ茶屋の看板メニューは韓方双和茶。
「このお茶を飲めば、この冬は風邪をひかないでしょう」とオーナーが自信を持って勧める韓方双和茶は、23種類もの天然薬草をじっくりと煎じて作られる。
割となじみのあるナツメ・生姜・桂皮から、あまり聞きなれない熟地黄・黄耆・当帰にいたるまで、体に良い生薬をふんだんに使っている。
一杯飲んだだけで体が温まり、元気が出る。苦いものが苦手な人には、双和茶とナツメ茶を混ぜた双和ナツメ茶がおすすめ。
ナツメの甘みが感じられ、韓方茶が初めての人でも無理なく飲める。
お茶は熱いうちに飲むのが一番美味しい。イファ茶屋はお茶の材料だけでなく、飲み方にもこだわっている。
韓方茶は最後まで温かく飲めるように保温性の高い石の茶碗に入れて出され、ガラスポットに入れた花びら茶もティーウォーマーにのせて出てくる。ショートケーキが8,000ウォンを超える昨今の物価高を考えると、スイーツが無料なのもうれしい。
お茶を注文すると、お茶請けとして焼いた餅かお菓子のバターワッフルが付いてくる。
韓方茶や花びら茶以外にコーヒーやシェイクなどもあり、飲み物の種類が豊富。