梅雨が過ぎて本格的な猛暑が続くと、食欲と気力が落ちてしまうこともある。そんな時こそ、夏の保養食の出番だ。
保養食を良く選んで食べ、食欲と元気を取り戻そう。
夏の保養食といえば真っ先にサムゲタンを思い浮かべるが、今年の夏は様々な食材を活用した異色の保養食を味わってみよう。
鴨もも肉のパスタ、スイカ冷麺、鶏の玉ひもスープなど、この夏を元気に過ごせそうな異色の保養食を紹介しよう。
外はカリッと!中はジューシー、美味しく栄養満点の鴨もも肉のパスタ
鴨肉は不飽和脂肪酸とタンパク質が豊富で、保養食としてよく食べられる。
通常、鴨肉の水炊きや鴨肉コチュジャン炒め、鴨肉の燻製焼き、鴨の焼き肉などがポピュラーなメニューだが、仁川には「鴨もも肉のパスタ」という一風変わった料理を提供するお店がある。
口コミで話題のフレンチレストラン、仁川・松島の「TOULON」では、本格的なフランス料理を韓国人の口に合うようにアレンジした多様な料理を提供している。
お店のドアにはブルーリボンがたくさん貼られていて、美味しさに定評があることがすぐ分かる。
なぜならブルーリボンサーベイは韓国版ミシュランガイドと呼ばれていて、そこで2017年から8年連続で掲載されているからだ。
淡白な鴨の胸肉のステーキ、済州産天然マトウダイのムニエル、真空調理法で料理したヒラメステーキ、自家製トリュフマヨネーズソースが美味しいTOULONサラダなどが特に人気メニューで、もちろん、鴨もも肉のパスタも外せない逸品だ。
鴨もも肉のパスタは、鴨肉やガチョウ肉をその脂肪に漬け込んで調理するフランス料理のコンフィをアレンジした料理。これに、もう少しボリュームのある一品を提供したい気持ちから、パスタを添えたという。
さまざまな野菜やハーブをオリーブオイルでじっくり煮込んだ自家製ラタトゥイユベースのパスタの上に、食べ応えのある鴨もも肉を乗せる。
鴨肉の臭みを消す作業はもちろん、湿熱と乾熱の調理法を組み合わせて長時間のブレゼ(蒸し煮)を行う。
オーブンで焼いてから煮て調理するため、外はカリッとしていて中はジューシーだ。
口に入れると肉がとろけるように柔らかい。雑味が全くなく、好き嫌いなく誰でも美味しく食べられる。
一度食べると忘れられない味、鶏の玉ひもスープ
魚の卵スープではなく、鶏の玉ひもスープだ。鶏と魚の卵を使った料理でも、卵を使った料理でもない。
名前の通り、排卵前の卵と卵管を入れて煮込むスープ料理のことである。
ここで言う鶏の玉ひもとは何か?卵は鶏が産んだ卵だが、鶏の玉ひもは鶏のお腹の中に入っているたまご(排卵前の卵黄)とひも(卵管)を指す。
鶏の玉ひもスープの由来について正確な記録はないが、仁川を中心に始まったと言われている。
数十年前、肉が貴重だった時代に鶏の何一つ捨てるのがもったいなく、料理に活用したことから誕生した。
当時、庶民が安い価格でもお腹いっぱい食べられる保養食だったのだ。
辛いスープに鶏の玉ひもを加えて煮込む「鶏の玉ひもスープ」は、聞き慣れない名前とは裏腹に、味は親しみやすい。
様々な野菜が入ったスープの味は、さっぱりとしていてピリッと辛い。鶏の玉ひもは一見卵黄に似ているが、食感は明らかに違う。
卵黄のようなふわふわ感はなく、もっちりとした弾力がある。味もさっぱりしているので、卵特有の生臭さが苦手な人でも抵抗なく食べられる。
鶏の卵管も、臭みがなく歯ごたえがあり、あっさりしている。季節によってエゴマの葉、ナズナなどの旬の野菜が加わるので風味が豊かで、ラーメン、チョルミョンなどが追加できてボリューム満点だ。
最後にご飯を炒めて食べれば、すっかり満足できる。鶏の玉ひもに対する先入観を捨てれば、意外と誰でも気軽に味わえる。
鶏の玉ひもスープを提供する飲食店を見つけるのは容易ではないが、仁川には全国で唯一、鶏の玉ひもスープ通りがある。
東区現代市場の向かい側に30~40年以上の伝統を誇る鶏の玉ひもスープの老舗が集まっていて、プンチャ鶏の玉ひもスープ、チャンソク元祖鶏の玉ひもスープ、ヒョンデ元祖鶏の玉ひもスープが特に有名だ。
この夏、コスパの良い異色の保養食を探しているなら、鶏の玉ひもスープに挑戦してみよう。
- 住所仁川広域市東区セッコルロ一帯
- 利用時間店舗によって異なる
ビーガンも楽しめる保養食、きのこの寄せ鍋薬膳
肉が入ってこそ保養食と思うなかれ。ここに、動物性食品を一切摂取しない完全菜食主義者でも食べられる保養食のお店がある。
20種類ものきのこが入る摩尼山タンゴル(常連)食堂のきのこの寄せ鍋薬膳だ。
摩尼山の入り口に位置する摩尼山タンゴル(常連)食堂は、2代目が運営し、50年以上の歴史を持つ飲食店だ。
親の代から出していたきのこの寄せ鍋を、現在のオーナー夫婦が健康に良い様々なきのこをさらに加え、きのこの寄せ鍋薬膳へと発展させた。
マブシタケ、コウタケ、冬虫夏草、シイタケ、キクラゲ、エリンギなどお馴染みのきのこから、アミガサタケ、ヤマドリタケ、セイヨウタマゴタケ、フクロタケなど馴染みのないきのこまで、
20種類以上のきのこが山盛り入っている。季節や需給状況によって入るきのこの種類は少しずつ変わるが、ボリューム満点という点に変わりはない。
きのこの下には、江華産ヨモギと大豆で作った自家製豆腐が敷き詰められていて、栄養と美味しさが倍増する。
出汁の代わりに少しのミネラルウォーターを入れて煮込むのは、手間が惜しいからではない。
様々な配合の出汁を作って試してようやくたどり着いた最高の味の秘訣だ。
出汁の代わりにミネラルウォーターを入れることで、きのこ本来の味と香りを余すところなく味わえる。
さらに、様々なきのこから出る水分が濃厚な旨味を出す。
カタクチイワシすら入っていない完全な植物性保養食なので、ビーガンも安心して食べられる。
これに摩尼山タンゴル食堂の特許メニューである薬用ヨモギと干し菜っ葉ご飯を一緒に食べると、まるで韓方薬を飲んだように、健康になった気分になれる。
- 住所仁川広域市江華郡華道面摩尼山路678
- お問い合わせ+82-32-937-1131
- 利用時間月、水~金 10:30~18:00、週末 9:00~20:00、火曜日は定休日
夏の王者スイカと冷麺のハーモニー、スイカ冷麺
夏になるととくに食べたくなる料理の冷麺とスイカがタッグを組んだ。
スイカ冷麺は、名前を聞くだけで暑さを吹き飛ばすのに十分だが、「甘辛」という完璧な味の調和が、夏に失われた味覚をも取り戻してくれる。
スイカ冷麺を味わうには、花平洞冷麺通りを訪れる必要がある。
洗面器のような大きなボウルに冷麺をたっぷり入れて出すことで広く知られ、洗面器冷麺通りとも呼ばれる。
1970年代に形成された冷麺通りは、以前よりは店舗数は減ったが、現在もいくつもの冷麺店が繁盛している。
それぞれの秘伝の味付けでボリュームたっぷりの冷麺を提供していて、スイカ冷麺はイルミ花平洞冷麺で味わえる。
洗面器のような器を使うことからもその気前の良さが分かるが、スイカ冷麺もスイカ半玉をまるまる使う。
適度に熟したスイカ半玉に混ぜ冷麺をたっぷりと盛り付ける。甘くて冷たいスイカが冷麺の器になるわけだ。
スイカ冷麺の食べ方は、まずスイカをスプーンである程度すくって、空の器に入れる。
冷麺を混ぜるスペースを確保するためだ。
よく冷麺を混ぜた後に甘いスイカと一緒に食べると最高に美味しい。
ピリ辛の混ぜ冷麺に甘味が加わり、塩味の効いたスイカがさらに甘く感じられる。
あらかじめ器に取っておいたスイカで最後の口直しをすると、夏の味覚としてこれに勝るものが他にあるだろうか。
スイカ冷麺は二人で食べてもお腹いっぱいになるほどボリュームたっぷりのメニューだ。
一人で訪れる場合は、スイカ冷麺の代わりに冷麺スイカを注文しよう。
冷麺スイカは冷麺にスイカを入れるもので、水冷麺と混ぜ冷麺から選ぶことができる。スイカ冷麺は夏限定メニューで、スイカの相場によって冷麺の価格が変わる。
[TIP]
仁川ヌードルパスが使えるお店。仁川ヌードルパスは、仁川を代表する麺料理をいろいろと味わえるお得なパス。仁川開港場博物館や展示館の観覧券も提供している。
- 住所仁川広域市東区華平路 18
- お問い合わせ+82-32-772-0040
- 利用時間火~日 10:00~20:00、月曜日は定休日